【AI産業の新たな転機】Nvidia・AMD、対中AIチップ販売で売上15%を米政府に支払いへ

2025年8月11日(米現地時間)、米半導体大手のNvidiaとAMDが、中国向けAIチップの販売再開に向け、売上の15%を米政府に支払う協定を結んだことが報じられました。

この“異例の取引”は、米中間の技術摩擦とAI産業の地政学リスクを象徴する出来事として、業界・市場双方から大きな注目を集めています。

■ 協定の背景

米国は近年、中国のAI・半導体開発能力を制限する目的で、先端GPUやAIチップの対中輸出を規制してきました。

特にNvidiaのH100やA800、AMDのMIシリーズといった高性能チップは、AIモデルの学習に不可欠であり、中国企業からの需要が非常に高い状況です。

しかし、規制強化によって両社の中国市場での売上は大きく減少。このため両社は米政府と交渉し、輸出許可の条件として売上の一部を政府に支払う“ペイ・トゥ・プレイ”方式を受け入れたとされています。

■ 協定の内容

  • 対象:中国向けの特定AIチップ(例:Nvidia H20など)
  • 条件:売上の15%を米政府に支払い
  • 目的:規制の回避と販売再開のための特例措置
  • 形式:輸出許可の発給と引き換え

■ 市場と業界の反応

金融市場では、発表直後にNvidia株は横ばい、AMD株は一時下落後に1%ほど上昇しました。

アナリストの間では以下のような見方が分かれています。

  • 肯定的評価:「中国市場の売上回復は業績の安定化につながる」
  • 否定的評価:「一時的な売上回復にすぎず、長期戦略にはならない」

また、一部の法学者や政策専門家からは、「これは事実上の関税や罰金に近く、米国企業にとって持続可能なモデルではない」といった批判も上がっています。

■ 今後の影響

この協定は、米国の国家安全保障政策と企業利益のバランスをめぐる新たな前例となる可能性があります。

また、他の先端技術分野(量子コンピューティング、次世代通信、バイオAIなど)でも、同様の“取引型規制”が広がる懸念も指摘されています。

さらに、中国側が報復措置を取る可能性もあり、米中間の“AI冷戦”は一層複雑化することが予想されます。

まとめ

Nvidia・AMDの“15%支払い協定”は、単なるビジネス契約を超え、AI産業のサプライチェーン、国際関係、そして技術覇権争いの新たな局面を示すものです。

短期的には中国市場への再進出という成果を得られますが、長期的には地政学的リスクとのせめぎ合いが続くでしょう。

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